◆◇◆◇
実家を長いこと離れていたのだから、当然、宏樹の車に乗るのもずいぶんと久しぶりだった。
朋也が高校在学中に買った宏樹の愛車は、だいぶ乗り潰され、何となく年季が入っているように思えた。
「腹減ってる?」
朋也がシートベルトを締めたタイミングで、宏樹が訊ねてきた。
「まあ、そこそこに」
「そこそこか」
「来る前には軽く食ってたしな」
「じゃあ、家まで我慢出来るか?」
「こっからだったら大した距離じゃねえだろ?」
「それもそうだな」
他愛のない会話を繰り返してから、ようやく宏樹はアクセルを踏み込んだ。
少しずつ、スピードが上がってゆく。
「紫織は元気?」
何も喋らないのも気まずい気がして、朋也から話題を振ってみた。
宏樹は前方に視線を向けたまま、「ああ」と答える。
「そんなにちょくちょくは逢ってないけどな。こっちは仕事がちょっと忙しいし。けど、時間があればメシぐらいは食いに行ってるよ」
「そっか」
「朋也は?」
「俺?」
「うん。友達と飲みに行ったりとかしないのか?」
「まあ、行くことは行くよ。ついこの間は、人数合わせだとか言われて合コンに連れてかれたし」
「合コン? お前が?」
「――なんだよその言い方……」
「いや、別に」
そう言いつつ、宏樹はあからさまにニヤニヤしている。
合コンに参加したという事実が、宏樹的にはツボにはまったらしい。
実家を長いこと離れていたのだから、当然、宏樹の車に乗るのもずいぶんと久しぶりだった。
朋也が高校在学中に買った宏樹の愛車は、だいぶ乗り潰され、何となく年季が入っているように思えた。
「腹減ってる?」
朋也がシートベルトを締めたタイミングで、宏樹が訊ねてきた。
「まあ、そこそこに」
「そこそこか」
「来る前には軽く食ってたしな」
「じゃあ、家まで我慢出来るか?」
「こっからだったら大した距離じゃねえだろ?」
「それもそうだな」
他愛のない会話を繰り返してから、ようやく宏樹はアクセルを踏み込んだ。
少しずつ、スピードが上がってゆく。
「紫織は元気?」
何も喋らないのも気まずい気がして、朋也から話題を振ってみた。
宏樹は前方に視線を向けたまま、「ああ」と答える。
「そんなにちょくちょくは逢ってないけどな。こっちは仕事がちょっと忙しいし。けど、時間があればメシぐらいは食いに行ってるよ」
「そっか」
「朋也は?」
「俺?」
「うん。友達と飲みに行ったりとかしないのか?」
「まあ、行くことは行くよ。ついこの間は、人数合わせだとか言われて合コンに連れてかれたし」
「合コン? お前が?」
「――なんだよその言い方……」
「いや、別に」
そう言いつつ、宏樹はあからさまにニヤニヤしている。
合コンに参加したという事実が、宏樹的にはツボにはまったらしい。