(つうか、こういう時ってどうすんだ……?)

 学生時代、ふざけ半分でバレンタインのチョコレートを貰った経験はある朋也だが、こういった真剣な告白は初めてだったから戸惑いを隠せない。
 申し出を受けるべきなのか、それとも、やんわりとでも断るべきなのか。

「すぐに返事して、なんて言わないから」

 底抜けに明るい口調で、誓子が言ってきた。

「まずは友達でお試し。さっき携帯番号渡したでしょ? ほんと、気が向いたらあの番号に連絡してきてよ。友達としてなら気楽に付き合えるんじゃない?」

 朋也に断る余地を与えてくれそうにない。
 『友達でお試し』などと言っているが、どうにも強引に押し進められてしまった気がしなくもない。

「俺、つまんねえ男だと思うけど……?」

 遠回しに断ろうとしたものの、「そんなこと言わない!」とバッサリ斬り捨てられてしまった。

「私は高沢君のままの高沢君が好きなの。ずっと一途に好きな子を想い続けてる高沢君もひっくるめてね。それとも、私のこと嫌い?」

「いや、別に嫌いってことは……」

「ならいいじゃない。しばらくお試しで付き合ってよ」

 もう、頷く以外になかった。

(仕方ねえ、か……)

 朋也は心の中でぼやきながら、ひっそりと小さく溜め息を漏らした。