◆◇◆◇
涼香が家に来たのは、午後六時十分前だった。
「悪いね。ちょっと早いかと思ったけど」
そう言いながら、玄関先で涼香は紫織に袋に入った白い箱を差し出してきた。
「わっ、ほんとに買ってきてくれたのっ?」
紫織は目を爛々と輝かせながら箱を受け取った。
そんな紫織に、涼香は「あったりまえでしょ!」と踏ん反り返って見せる。
「涼香ちゃんは友達想いだからね。あ、一番はスポンサーに恩を売っとくことか」
「――スポンサー、って、まさか……、お母さん……?」
「他に誰がいると?」
「――だから威張って言うことじゃないでしょ……」
盛大に溜め息を漏らす紫織を前に、涼香は得意気に歯を見せて笑う。
本当に、涼香らしいとしか言いようがない。
「ま、上がってよ。料理はだいたい出来てるからすぐ食べれるよ?」
「おおっ! そういやすっごいいい匂いする!」
涼香は靴を脱いで上がりながら、鼻をクンクンとさせている。
黙っていれば同性から見てもかなりの美人なのに、こういった行為が涼香の魅力を台無しにしている、と紫織はつくづく思う。
もちろん、そういう飾らないところが良い面でもあり、母親も気に入ってくれているのだが。
涼香が家に来たのは、午後六時十分前だった。
「悪いね。ちょっと早いかと思ったけど」
そう言いながら、玄関先で涼香は紫織に袋に入った白い箱を差し出してきた。
「わっ、ほんとに買ってきてくれたのっ?」
紫織は目を爛々と輝かせながら箱を受け取った。
そんな紫織に、涼香は「あったりまえでしょ!」と踏ん反り返って見せる。
「涼香ちゃんは友達想いだからね。あ、一番はスポンサーに恩を売っとくことか」
「――スポンサー、って、まさか……、お母さん……?」
「他に誰がいると?」
「――だから威張って言うことじゃないでしょ……」
盛大に溜め息を漏らす紫織を前に、涼香は得意気に歯を見せて笑う。
本当に、涼香らしいとしか言いようがない。
「ま、上がってよ。料理はだいたい出来てるからすぐ食べれるよ?」
「おおっ! そういやすっごいいい匂いする!」
涼香は靴を脱いで上がりながら、鼻をクンクンとさせている。
黙っていれば同性から見てもかなりの美人なのに、こういった行為が涼香の魅力を台無しにしている、と紫織はつくづく思う。
もちろん、そういう飾らないところが良い面でもあり、母親も気に入ってくれているのだが。