「食べよっか?」
涼香に言われ、朋也はフォークを手にする。
涼香はそれを見届けてから、フォークに加えてスプーンも手に取り、それらを使って綺麗にパスタを巻いてゆく。
一方で、朋也は涼香のような上品な食べ方はとても出来ず、適当に掬い上げては無造作に口に運ぶ。
ただ、さすがに音は出さないように気を遣った。
「一人暮らし、どう?」
不意に訊かれ、朋也はフォークを動かす手を止めた。
「寮生活だから、一人暮らしともちと違うけどな」
「そっか、そうよね」
涼香は肩を竦めて微苦笑を浮かべる。
それを見ていたら、素っ気ない答え方をしてしまったことを少なからず後悔し、「けど」と言葉を紡いだ。
「もうちょっとカネに余裕が出来たら寮を出たいとは思ってるよ。今はとりあえず、資金を貯め込んでるトコ。まあ、俺は元からあんまり欲しいもんがないんだけど」
「なら、わりとすぐに独立出来るかもね?」
「だといいけどねえ。そういう山辺さんは?」
自分のことだけペラペラ喋るのは悪い気がして、朋也は逆に問い返す。
不意を衝かれた涼香は目を丸くし、けれどもすぐに笑顔を取り戻した。
「私はすぐに一人暮らし始めたから。お金は短大時代にバイトしていた時に貯めてたし。と言いつつ、親にも借金しちゃってるんだけどね、実は」
「借金、てことはちゃんと返すの?」
「当然よ。一生、親の脛を齧り続けるなんてごめんだもの。それに、最近は孫も出来たから、そのうちその子のためにお金もかかるんじゃないかしらね」
「孫……?」
一瞬、涼香をシングルマザーだと勘ぐってしまった。
だが、そんな朋也の思惑を瞬時に察したのか、「私の子じゃないわよ」と困ったように笑った。
「姉貴の子。去年産まれたからね」
「姉さん、いたんだ?」
「うん。さらに下に妹もいる」
「てことは、山辺さんは三人姉妹の真ん中ってこと?」
「そうゆうこと」
三人姉妹の次女というのは、妙に納得出来た。
朋也や紫織と違ってしっかりしているし、浮世離れしている、というのも違う気がするが、何となく掴みどころがない。
もしかしたら、上と下に挟まれ、あまり自分の本心を表に出さないことが自然と身に着いてしまったのだろうか。
涼香に言われ、朋也はフォークを手にする。
涼香はそれを見届けてから、フォークに加えてスプーンも手に取り、それらを使って綺麗にパスタを巻いてゆく。
一方で、朋也は涼香のような上品な食べ方はとても出来ず、適当に掬い上げては無造作に口に運ぶ。
ただ、さすがに音は出さないように気を遣った。
「一人暮らし、どう?」
不意に訊かれ、朋也はフォークを動かす手を止めた。
「寮生活だから、一人暮らしともちと違うけどな」
「そっか、そうよね」
涼香は肩を竦めて微苦笑を浮かべる。
それを見ていたら、素っ気ない答え方をしてしまったことを少なからず後悔し、「けど」と言葉を紡いだ。
「もうちょっとカネに余裕が出来たら寮を出たいとは思ってるよ。今はとりあえず、資金を貯め込んでるトコ。まあ、俺は元からあんまり欲しいもんがないんだけど」
「なら、わりとすぐに独立出来るかもね?」
「だといいけどねえ。そういう山辺さんは?」
自分のことだけペラペラ喋るのは悪い気がして、朋也は逆に問い返す。
不意を衝かれた涼香は目を丸くし、けれどもすぐに笑顔を取り戻した。
「私はすぐに一人暮らし始めたから。お金は短大時代にバイトしていた時に貯めてたし。と言いつつ、親にも借金しちゃってるんだけどね、実は」
「借金、てことはちゃんと返すの?」
「当然よ。一生、親の脛を齧り続けるなんてごめんだもの。それに、最近は孫も出来たから、そのうちその子のためにお金もかかるんじゃないかしらね」
「孫……?」
一瞬、涼香をシングルマザーだと勘ぐってしまった。
だが、そんな朋也の思惑を瞬時に察したのか、「私の子じゃないわよ」と困ったように笑った。
「姉貴の子。去年産まれたからね」
「姉さん、いたんだ?」
「うん。さらに下に妹もいる」
「てことは、山辺さんは三人姉妹の真ん中ってこと?」
「そうゆうこと」
三人姉妹の次女というのは、妙に納得出来た。
朋也や紫織と違ってしっかりしているし、浮世離れしている、というのも違う気がするが、何となく掴みどころがない。
もしかしたら、上と下に挟まれ、あまり自分の本心を表に出さないことが自然と身に着いてしまったのだろうか。