「そうそう」

 食べかけのあたりめを手に持ったままで、充が身を乗り出してくる。
 満面の笑みを浮かべているのが何故か怖い。

「――なんだよ?」

 警戒心を露わにして朋也が訊くと、充はさらにニンマリと笑いながら、「さっきの手紙の子」と言葉を紡いだ。

「ほんと高沢とどういう関係? その子から手紙が届くと、お前、妙にそわそわしてるよな?」

「別にただの幼なじみだよ。てか、そんなにそわそわしてねえし」

「いやあ、違うな。高沢は動揺してるのを隠そうとしてっけど、俺にはぜーんぶお見通しよ?」

「――気色わりいな……」

「なに言ってんだ? お前が分かりやす過ぎるんだろうが。こっちが詮索するまでもなく、ぜーんぶ顔に出ちまってるんだぜ?」

 そこまで言うと、充は残ったあたりめを全て口に放り込み、咀嚼した。
 そして、さらにビールでそれを流し込んでゆく。

「――そんなに、俺って分かりやすい……?」

 ビールから口を離したタイミングで恐る恐る訊ねると、充は、「分かりやすいねえ」と口の端を上げながら続けた。

「お前は必死で思ってることを隠そうとしてるけど、隠そうとすればするほどドツボに嵌ってる。まあ、そういう素直さが可愛い、とか言ってる女子がいるのも確かだけどさ」

「――可愛い、って言われてもちっとも嬉しくねえよ……」

「だから、俺じゃなくて女子だって。そう言ってんのは」

「んなもん分かってら」

 朋也は半ばヤケクソになりながらビールをグイと呷る。