屈託のない涼香。
 しかし、朋也も意識しながら耳を傾けていたから、どことなく涼香にもぎこちなさを感じた。

 これから涼香とどう向き合っていくか。
 朋也が気付いていないふりさえしていれば、涼香は朋也と友人としての付き合いを続けてくれるだろうと思う。
 とはいえ、誓子の問題を先に解決しないわけにもいかない。

 うやむやにしておくのが一番いけないことだ。
 今、涼香と電話で話していて改めて思った。

「もう少しだけ、時間をくれるか……?」

 握り締めた携帯に向けてひとりごちる。むろん、その声は涼香に届いていない。

 ゆっくりと瞼を閉じる。
 すると、大口開けて笑う涼香の姿が浮かび上がる。
 黙っていればモデル並みの美人なのに、全く飾らないのは涼香の長所のひとつなのかもしれない。

(ちゃんと考えて、答えを出すから……)

 考えているうちに、朋也から意識が遠のいていった。

[第六話-End]