今日の学活はこの間決めた内容にそって、キャンペーンを作るというものだった。キャンペーンのもっと具体的なルールや記録用紙のレイアウトを考える。
「で、なんか意見ある人いますか？」
そんな聞き方をするから沈黙になるんだよ。
そう言ってやりたかった。前、超嬉しそうに言ってきた、あのリーダーだ。予想通り沈黙が流れる。
そんなことなら自分が仕切ればばいいのにと言われそうだが、この場合は自分が積極的に意見を出さないと始まらない。
具体例をあげてみるのが一番だ。
私は周りの視線が怖い。一言で空気が変わることに耐えられない。だから言えない。
リーダーの代わりに仕切るなんて周りの目が怖くて出来ない。
「あいつ、リーダーじゃない癖にイキってる」
「じゃあ自分がリーダーやればいいのに。リーダーの子可哀想。」
って言われるのがリアルに想像出来る。
怖いんだよ。私だって。
正直、自分が優等生って言われてるからって調子乗ってる事なんて、ずっと前から知ってる。
でも、この立場から変わることが怖いんだよ。
信頼が無くなって、冷たい目で見られるなんて、どうしても我慢できない。
ほんとにちっぽけな事なんだって分かってる。
でも、こんな小さくて他人から見たらどうでもいいことでも私にとっては重要な事だ。
テレビに出ている芸能人が、ファンを減らさないように。イメージを崩さないようにって頑張るように。それと変わりはないと思ってる。
だから私は猫をかぶる。
『いい子』の振りをする。何でだろう。
時々疑問に思う。誰のためにこんな事してるの？
自分の為だよ。この世の中は綺麗な淡い色が、濃い黒色に無造作に塗りたくられた様な色をしている。
自分を守るにはこの方法しかないんだ。
優等生として活躍していると見せかけて、いつも息を殺して生きている。
野生の草食動物が肉食動物に捕まえられないように、必死で息を殺してる。
そうやって周りばかりを気にして、自分が出せない『ダメな子』が私だ。