まず何に対しての笑いなのか意味が分からない。けれどそこに関しては触れないことにする。

 雨宮の行動原理は、理解の範疇から外れていたり予想を超えてきたりすることがたまにある。それは、雨宮と席が前後になり、言葉を交わす機会が増えたことによって学んだことの1つだった。

 要するに、ちょっと変な奴ということだ。

 大体、雨宮専属のノート係って何なんだ。100%初耳のはずなのに何故だか既成事実になっている。

「何だよ、忘れたのって。誰がいつそんな約束したんだよ。言ってみろよ」

「あ、それめんどくさいやつだ。何月何日何時何分地球が何周回った頃?とかいう小学生が言いがちな質問」

「よくそんなの覚えてるな。あと言っとくけど誰よりもめんどくさいのはそういうことを言い出す雨宮だからな」

「うん、ちょっと何言ってるかよく分からないけどとりあえず後でノート貸してね」

 俺に有無を言わせる隙すら与えないこのマイペースぶり。そしてまた笑っている。その笑顔で諸々ごまかせるとでも思っているんだろうか。