要するに俺のすぐ前、同じ窓際族の雨宮だって授業中よく寝ているのだ。真後ろにいるとその様子がよく分かる。

 だんだん俯きがちになり、わずかに揺れ始める後頭部。あ、また寝てるよ。そんな風に思うのはしょっちゅうだった。

 意図的に観察しているわけでも何でもない。嫌でも視界に入ってきてしまう。不可抗力だ。

「私は森下みたいに机を枕にしたりしないもん。たまに意識が飛ぶ程度だから」

「寝てること自体は認めるんだな。じゃあ同罪だ」

「やめて、一緒にしないで。罪は1人で償って」

「誰に対しての償いなんだよ」

「私に聞かれても困る。言い出したのは森下でしょ」