「別に今じゃなくても。ノート返すのなんて来週でいいよ」

「だって月曜日に古文の小テストあるじゃん。ノート無いと休みの間に森下が勉強できなくなっちゃうでしょ」

「俺小テストの前に勉強とかしたことないんだけど…てかテストあること自体忘れてた」

「もう、そういう所が森下のダメポイントだよね」

「ずいぶんはっきり言うな。じゃあそんなダメな奴からノート借りてる雨宮ってどうなの?」

「はいはいもううるさいな。とにかくすぐ写しちゃうからちょっと待ってて」

 強制的に会話を終了させて、雨宮は身体の向きをくるりと前に戻してしまった。そして本当にそのままノートを写し始めた。

 そのうち担任が教室にやって来て帰りのホームルームが始まったけれど、その間も雨宮はお構いなしにシャーペンを走らせ続けた。