「なるほどな。確かに雨宮、山の中にある中学に通ってたって前に言ってたわ」

「山の中はさすがに盛りすぎだな。正確に言うと山のふもとだな」

「え、同じだろ。どっちにしろ田舎ってことじゃん」

「森下、確実に馬鹿にしてるな」

 もちろん馬鹿にしている。冗談から外れない域で。

 俺の知らない中学時代の雨宮は、どんなだったのだろう。その頃から飴配りの活動をしていたのだろうか。

 でも中学校だと基本的に、菓子の類だとかスマホだとか、授業と関係のない物の持ち込みは禁止されていたような気がする。自分が通っていた学校はそうだった。 

「…なぁ、あいつがちょくちょく飴くれるのって、高校入ってから?」

「あー…あれね。何なんだろうな。どこぞの老人かって感じだけど、少なくとも中学の時はやってなかったよ」

「老人っておい」

「でも老人だったらみかんとか…あとはいちごとかか。愛未は絶対レモンだもんな。レモンはいまいち老人感無いよな」