雨宮には、1つの異名がある。

『飴配りの雨宮』だ。名前をもじって『飴宮』なんていうのもある。

 雨宮が日直当番の日、黒板の右端に『飴宮』と書かれていたことがあった。

「誰!わざわざ書き直したの!」と黒板を指差しながら雨宮は叫んでいたけれど、特段気を悪くしたわけじゃなさそうなのはその表情で分かった。からかってくる他のクラスメイトと一緒になって笑っていた。

 雨宮が何かというと飴玉をくれるのは割りと有名な話だった。実際に俺が目撃したことのある例を、いくつか挙げてみる。