「妹御は、生きちゃあおりますまい」
いきなり浴びせられた言葉に、広綱は目を見開いて四郎を見た。闇の瞳は、真っ直ぐに広綱を映している。
「な……何だと?」
顔色をなくした広綱は、それだけ言うのが精一杯だ。
「離れに漂っているのは瘴気。生き身の人の気ではのうなっておる。結界に阻まれて、ようはわかりませぬがの。おそらく離れは、妖気とも違う、死に人の気で満たされておりましょう」
表情一つ変えず、世間話でもするように語る四郎とは対照的に、広綱は口を固く引き結んで、顔を伏せている。そんな広綱を気遣うように、一八が口を挟む。
「広綱様も、薄々気付いてらしたでしょう? 妹御の死を認めたくないのかもしれやせんが、瘴気は妖の餌になるもんです。このまま果ての晦日を迎えたら、ちぃっと恐ろしいことになりますぜ」
いきなり浴びせられた言葉に、広綱は目を見開いて四郎を見た。闇の瞳は、真っ直ぐに広綱を映している。
「な……何だと?」
顔色をなくした広綱は、それだけ言うのが精一杯だ。
「離れに漂っているのは瘴気。生き身の人の気ではのうなっておる。結界に阻まれて、ようはわかりませぬがの。おそらく離れは、妖気とも違う、死に人の気で満たされておりましょう」
表情一つ変えず、世間話でもするように語る四郎とは対照的に、広綱は口を固く引き結んで、顔を伏せている。そんな広綱を気遣うように、一八が口を挟む。
「広綱様も、薄々気付いてらしたでしょう? 妹御の死を認めたくないのかもしれやせんが、瘴気は妖の餌になるもんです。このまま果ての晦日を迎えたら、ちぃっと恐ろしいことになりますぜ」