思った通り、気配の絶たれた場所には離れがあった。
「方角的にも好かないねぇ。丑寅とは」
そろそろと離れに近付くと、全身の気を集中して離れに放つ。一八の目に、離れを包む結界が見えた。
その時。
「うおっち」
素早く飛びのいた一八は、一瞬前に自分のいた地面を睨む。そこは何かを穿ったが如く、砂利が乱れている。
「空砲……?」
考える間も、見えぬ攻撃は一八に向かって繰り返される。
「へっ。結界も雑なら攻撃も雑だねぇ」
続く攻撃をかわしつつ、庭の隅にある大木に駆け寄った一八は、大きく飛んで大木の陰にいた人物の背後に着地した。
「乱暴なお人ですなぁ。そんなもん、やたらと撃っちゃあ怪我しますぜ」
「……貴様っ……。何者!」
慌てて振り向いた男は、腰に差した小刀に手をかけた。
「おっと。落ち着きなっせ。兄さん、ここの者ですかい」
一八の問いには答えず、男は小刀を抜くと、闇雲に刃を繰り出す。
「わっちは賊じゃあありませんて。ちょいと離れが気になりましてね」
刃を避けながら言う九郎に、男の動きが止まった。
「離れだと……?」
鋭い目で一八を睨む。
「あそこは妹の部屋だ」
「兄様ですかい。はて、妹御を結界で縛ってるんで?」
瞬間、男の顔が強張った。
「絵も、あそこでやんしょ?」
続く一八の言葉に、完全に顔色を失い立ち尽くす。
「妹御が妖の餌食になるのが怖いか。妹想いよの」
上から降ってきた別の声に顔を向ければ、築地塀の上で懐手をした四郎が目に入る。
「……そもじら、何者なのだ」
「方角的にも好かないねぇ。丑寅とは」
そろそろと離れに近付くと、全身の気を集中して離れに放つ。一八の目に、離れを包む結界が見えた。
その時。
「うおっち」
素早く飛びのいた一八は、一瞬前に自分のいた地面を睨む。そこは何かを穿ったが如く、砂利が乱れている。
「空砲……?」
考える間も、見えぬ攻撃は一八に向かって繰り返される。
「へっ。結界も雑なら攻撃も雑だねぇ」
続く攻撃をかわしつつ、庭の隅にある大木に駆け寄った一八は、大きく飛んで大木の陰にいた人物の背後に着地した。
「乱暴なお人ですなぁ。そんなもん、やたらと撃っちゃあ怪我しますぜ」
「……貴様っ……。何者!」
慌てて振り向いた男は、腰に差した小刀に手をかけた。
「おっと。落ち着きなっせ。兄さん、ここの者ですかい」
一八の問いには答えず、男は小刀を抜くと、闇雲に刃を繰り出す。
「わっちは賊じゃあありませんて。ちょいと離れが気になりましてね」
刃を避けながら言う九郎に、男の動きが止まった。
「離れだと……?」
鋭い目で一八を睨む。
「あそこは妹の部屋だ」
「兄様ですかい。はて、妹御を結界で縛ってるんで?」
瞬間、男の顔が強張った。
「絵も、あそこでやんしょ?」
続く一八の言葉に、完全に顔色を失い立ち尽くす。
「妹御が妖の餌食になるのが怖いか。妹想いよの」
上から降ってきた別の声に顔を向ければ、築地塀の上で懐手をした四郎が目に入る。
「……そもじら、何者なのだ」