広綱が目覚めると、そこは自分の屋敷の、自分の部屋だった。きちんと布団に横になっており、昨夜の出来事は夢だったのかと思う。

 しかし、枕元には焦げ目のある打掛が畳まれており、その上には汚れた巻物が置かれていた。

 広綱はそっと起き上がり、巻物を広げた。
 かつて離れにあり、妹を取り込んだ絵巻物は、今、広綱の手元に戻ってきたが、その絵の中に、龍の姿はなかった。


*****終*****