家に帰ってお弁当を食べていると後輩からLINEがきた。
〈先輩残業お疲れさまです!俺の仕事に付き合わせちゃってすいません……〉
〈よかったら、お礼も兼ねて今度飲みに行きませんか?〉
後輩の中島くん。
某有名M大学出身で社会人一年目の中島くんは芸能人顔負けの甘いルックスと王子様もびっくりの紳士的な性格で女性社員に大人気。
他の部署からわざわざ中島くんを見に来る人も後を絶えない。
私は中島くんの教育係だからか懐かれている。
よく飲みに行くし、仲がいいほうだと思う。
〈急いで帰る用もなかったから大丈夫だよ〉
〈今度仕事が早く終わったときに飲みに行こうね〉
すぐに既読がついて返信が来る。
〈そうですね!その時飲みに行きましょう!〉
〈じゃあお肌に悪いし先輩早く寝てくださいね!
 疲れも明日に響くといけないので〉
こういう気遣いができるところが人気の理由のひとつなんだろう。
〈ありがとう。おやすみ〉
弁当を食べ終わってお風呂に入ってからベッドに入る。
時刻は12時30分前。
ちょっと遅くなっちゃったかな……。
あまり寝付きがいいほうじゃないから眠りにつくのが遅くなってしまうかもしれない。
こういうとき恋人がいればLINEのやり取りをしたり電話をしたりするんだろうけどあいにく私には長らくそんな相手がいない。
大学を出てからずっといないから……もう4年はいないはずだ。
社会人になると出会いも少なくなってくるし四年間彼氏など存在しない。
それに私はプライベートを仕事に持ち込みたくないタイプの人間なので社内恋愛とかもしたくないからなおさらだ。
このまま彼氏ができないまま30代を迎えていくんだろうな……。
中島くんなんかはすぐに彼女ができるんだろうけど。というか、いるんだろうけど。
「あ……もう12時か」
眠くなってきたし寝よう。
そこで私の意識は途切れた。