「凉介ー今日ご飯なにがいい?」
「うーん、オムライス」
オムライスなら今家にある食材で作れそう。
……あ、卵がない。
オムライスの食材を取り出そうと冷蔵庫を開けると肝心の卵がないことに気がついた。
「ごめん、コンビニで卵買ってくる!」
「俺が行こうか?」
「大丈夫、すぐ戻るね」
卵がなかったらただのケチャップライス。いや、チキンライス?まあこの際それはどうでもいいけどオムライスに卵は必須だもんね。
コンビニで買うと高くついちゃうけど一番近いスーパーまで行ってたら遅くなってしまう。
コンビニで卵を買って、徒歩5分圏内にあるマンションまで卵を割らないように走って帰る。
「ただいま~……。
 ……凉介?」
玄関のドアを開けリビングに入ると凉介がうつむいて立っていた。
「りょ、凉介?どうしたの?」
「スマホ……」
「スマホ?」
「画面割れた…」
「えっ!?」
よそ見しながら操作でもして落としてしまったのだろうか。
「何してたの?」
「何っていうか…手に力入らなくて」
突然力が入らなくなったの?それって……。
「大丈夫?怪我とかしてないよね?」
「うん、それは大丈夫」
良かった……。
でもスマホの液晶画面はバキバキだ。修理に出さないと。
「今週末、修理に出しに行こう」
「うん」
スマホが割れてしまったせいで心なしか少し悲しそうに見える。
まぁスマホが割れたらショックだよね……。
「元気だして、とびっきり美味しいオムライス作るから!」
そう言うと笑顔になる凉介。
実は幼馴染で幼稚園の頃から一緒だけど、時折見せる無邪気さや笑顔は幼い頃から変わらない。
このときの私も今までの「普通」が変わらないことに安堵した。