星がきれい。
湯上がりに窓辺で夜空を見上げながらそう思った。
あの人と二人でよく空を見たことを思い出す。
「奏珠」
後ろから聞こえた声に振り向くとそこには愛してやまない人が立っていた。
「祐くん」
「何してんの?そんなとこで。風邪引くよ」
「ううん、星が綺麗だなって」
「星?ああ、ほんとだ」
私の横から覗き込むようにして夜空を見上げる祐くんの横顔はいつもよりかっこよく見えた。
「それもいいけど、程々にね。
 明日の朝早いんだから」
「うん」
そう、明日は私と祐くんの結婚式。
神に祐くんへの永遠の愛を誓う日。
祐くんはとても真面目で優しい素敵な人。
そんな人と結婚できるなんて私はすごく幸せな人間だと思う。
ただ――……。
「俺先に寝てるから」
「わかった。すぐ行くね」
……ただ――……もしもあの人と一緒に人生を歩んでいたら未来は違ったのかなって今でもふと考えてしまう。
ねぇ、あなたは今でも私のことを覚えていますか?
今でも私と出会ったことを覚えていますか?
今でも私と過ごした日々を覚えていますか?
今でも私に言ってくれたこと、してくれたことを覚えていますか?
今でも私と別れたあの保のことを覚えていますか?
今でも私に最後に託したあの手紙とメッセージのことを覚えていますか?
そして――……
今でも私のことを好きでいてくれてますか?
「ねえ、凉介――……」