遠い昔、ギリシャの神であるプロメテウスは『人間』という生き物を創造した。
人間の姿形は全ての生き物の中で神々に最も近く、神々の次に賢い生き物となった。
プロメテウスは彼らが生きていく手助けをし、火を与え、生きていく術を授けた。
人間たちは驚異的な早さで成長し、あっという間に地上の生き物たちの頂点に位置するようになった。
プロメテウスは彼らの成長を喜んだ。
しかし、人間たちはいつしか、互いに争いを始めるようになった。
プロメテウスは悲しんだ。
一方その頃、神々の王であるゼウスはほくそ笑んでいた。
ゼウスはプロメテウスが作り出した人間のことを快く思っていなかった。
いつしか自分たち神々の脅威となることを恐れていたのだ。
ゼウスは、人間たちが争いを始めたのをいい機会だと思い、この際滅ぼしてしまおうと思った。
ゼウスはプロメテウスに嘲笑しながら言った。
「プロメテウスよ、お前が創り出した人間というものはお互いに争い始めた。彼らは失敗作だ。同族同士で争いを行うなどという醜い生き物は滅ぼしてしまってよいな?」
プロメテウスは困惑した表情をしながら答える。
「お待ちください、ゼウス。彼らは、人間たちは、争いを起こすはずがないのです。」
ゼウスは鼻で笑った。
「ほう、それはなぜだ?現に彼らは争い続けているではないか。」
プロメテウスは言いづらそうにいう。
「なぜなら、彼ら人間たちは、神《・》々を模して創った者なのだからです。」