今度は大鷹が驚いている。いちごは話していなかったんだ。
「知らなかったんだ……」
秘密にしていたんだろうか? でも、もう遅い。簡単に説明して、他言無用にしてもらおう。いちごには夜にでも連絡しておくことにして。
「いちごと付き合ってるのはうちの兄貴の諒だよ。この学校の卒業生で、今は大学生」
「ご、ごめんなさい。幼馴染みってことだけ聞いてて……」
大鷹が小さくなって弁解する。
「初日に仲良さそうだったから、もしかしたらそうなのかなって……。内緒にしたいのかも、って思ったり、でも堂々としてたからあたしだけ知らないのかも、と思ったり、失礼なこと言っちゃったら悪いな、とか、あれこれ考えてしまって、だったら確認しちゃおうと思って……」
なるほど。あの質問はよくよく考えた末のものだったのか。たしかに、近くにいるのに分からないというのは気を使ったりして疲れるだろう。
「気にしなくていいよ。俺は何とも思ってないから」
よく考えたら、早々に確認してもらって良かった。疑問や誤解は知り合うための邪魔になる。
それに、分からなかったら訊いちゃおうっていう彼女の性格、さっぱりしていていいと思う。