二時間ほどかけて、ゆっくりと食事をした俺と砂夜は並んで夜道を歩いた。

 結局、ふたりで瓶ビール四本、さらにぬる燗を一本頼み、飯共々、綺麗に平らげてしまった。
 でも、これぐらいの量ならば大して酔っ払った気分にはならない。

 俺以上にザルの砂夜も、素面の時と変わらず足元がしっかりしている。
 ただ、若干テンションが上がっているようには思えるが。

「ねえ、酔い覚ましがてら、ちょっと歩こっか?」

 砂夜はそう言うと、突然、俺の手を取った。

 今まで、ふたりで飲みに行ったり飯を食いに行くことはよくあったが、手を握られるなんて全くなかった。
 それだけに、砂夜の行動に俺は驚きを隠せない。

「まさかお前、酔っ払ってる……?」

 探るように訊ねると、砂夜はいつもの調子で、「酔っ払ってるに決まってんじゃーん!」とケラケラ笑った。

「もうね、今はすっごく楽しい! やっぱ、宮崎と一緒にいると最高だわ!」

「――そりゃどうも」

「ちょっとあんたテンション低過ぎ。もうちょっと楽しそうにしてよ」

「――いや……、楽しそうに、って言われても……」

 俺は複雑な心境で視線を落とした。その先には、しっかりと俺の手を握っている砂夜の手がある。

 砂夜は一瞬、不思議そうに首を傾げていたが、すぐに俺が手を繋がれていることに戸惑っているのに気付いたらしい。

「――嫌なの?」

 先ほどまでの笑いを引っ込め、砂夜は神妙な顔付きで俺を見つめてきた。
 二年間、同僚として、そして、気の合う友人として付き合ってきたが、今のような表情を見せたことは未だかつてなかった。

 瞬間的に、俺は砂夜から〈女〉の匂いを感じた。