「彼女がいるのに、寺苑に会いに来るわけないだろ」

知ってるだろうが。

「分っかん…ないじゃないですか……。
彼女さんと別れて私と…」

「無いな。
絶対に無い!!」

すっごいラブラブだったぞ。

人目もはばからずチュッ、チュッ、チュッ、チュッ…。

「風揶先輩が良かったです……。
私の夢の話……信じてくれてる人だから……」

風揶は100パーセント人を信じる。

「素直な人だから……」

風揶はとても真っ直ぐだ。

「嘘をつかないから……。

囲之先輩みたいに」

俺は寺苑に嘘をついた。

彼女がいるって嘘をついた。