この日、琴葉のアパートに泊まった。

次の日琴葉のアパートから仕事に向かった。

今日はお袋に琴葉との事を話そうと考えていた。

仕事が終わり、家に帰った時、玄関にお袋が男性と話している姿が目に止まった。

なんか揉めてる様子が伺えた。

誰なんだ。

男性はお袋を抱き寄せて、何か囁いていた。

一瞬男性の横顔が俺の視界に入ってきた。

「社長!」

そう、その男性は俺が勤めている会社の社長だった。

社長が俺の親父?

だから、お袋のことを聞いていたのか。

だから、あんなに反対したのか。

いろんな事がパズルが解けるようにはっきりわかってきた。

お袋の中の女の部分を見たような気がした。

この味わった事がない感情はなんなのか、怒り、悲しみ、ヤキモチか。

すぐに処理しきれない気持ちをどうする事も出来ないでいた。

俺はその場を後にした。

行先も分からず、走り出していた。

車道に飛び出した俺は、車のライトに目が眩んだ。

次の瞬間、俺の身体は宙に浮いていた。

どうしたんだ、あれ?

俺の目に入ってきた光景は、車道に飛び出した俺の身体が横たわっていた。

周りの人達が騒ついている。

「人が跳ねられたぞ」

「救急車を呼べ」

「事故だ、警察に連絡しろ」

俺が車に跳ねられた。

えっ?どう言うことだよ。