「……何言いたいかわかんないし、そのさばっかり言うよね」
 すると、二羽は顔を赤らめて鋭い眼光をこちらへ直球に飛ばしてくる。
 明らかに怒っている。というか、何で?
「もう! そんな事言うなら、さっさとこれ受け取りなさいよ!」
「え、な、なに――」
 結構鈍い音が響きながら僕の胸元に何かを押し付けられる。え、急に何? 本当に何で怒ってるんだ!?
 思わず、尻餅をつきそうになった。
「そ、それじゃあ私の用事すんだから! じゃあね!」
「え、用事って何のことなんだ? って待て!」
 捨て台詞を置いたと思ったらあっという間に二羽は校門の方へと行ってしまった。何なんだ、今日話しかけてこないと思ったら急に何かを押し付けて走り去ってしまったのだ。理解が追いつかない。
「んで、一体何だこれ?」
 二羽が押し付けてきたものはなにやら、綺麗にデコレーションされた袋だった。少し膨らんでいるので少しだけギュッと握ってみると、紙が折れるような音が聞こえる。もしかして、紙を使ったなにかが入っているのか?
 僕は試しに開けてみると、中には何か文字が書かれた紙と、手のひらに置いておけるようなサイズの折り鶴が入っていた。折り鶴はしっかりと折り畳まれた状態であり、何も無かったが、僕が少し握ったせいで文字が書かれた紙は少しくしゃくしゃしてる。
 この紙は、もしかして手紙なのだろうか。
 その手紙にはこのような文字が書いてあった。

『お誕生日、おめでとう。一葉薫くん――二羽蛍 P.sこれだけだと、味気ないので折り鶴も中に入れてます。大事に飾ってください』

「な、なんだこれ?」
 何故、二羽がこんなものを?
 僕はこの謎の流れをイマイチ理解できなかった。