そう言って、二羽は頬を赤く染めながら席に座る。
 赤面しているのは、恥ずかしいからなのだろうか。
「もう……一葉くんは無自覚なんだから」
「……え?」
 もしかして、僕は今責められたのか? 何でなんだ。

  3

 僕は未だにこの日の授業の出来事を鮮明に覚えている。二羽の様子が明らかにおかしかったのと、最後の聞き取れなかった二羽の発言。この二つが引っかかっている。それに、急に誕生日の確認までされたので、尚更気になってしまったのだ。
 それは、今日が僕の誕生日だからだろう。
 今日の授業が終わり、クラスメイト達がわいわいと騒ぎながら放課後どうするか話したり、教室にいすわってケータイゲームを皆で集まってしたり。とにかくにぎやかだった。
 その中に、二羽も混ざっていた。今日に限って彼女は僕に対して、何をしてこなかった。
「よお、薫」
 いつもの友達が声を掛けてきた。ちなみに薫というのは当然僕の名前の事を言っている。
「ちょっと付き合ってくれよ」
「え、急になんだよ」
「いいからちょっとグラウンドでキャッチボールして話そうぜ。ちゃんと先生にボール使う許可貰ったし」
「いや、だからなんで」
「それじゃあ行こう!」
 そう言われて強引に腕を引っ張られて僕は教室から出た。
「ちょっと待てって、自分で歩けるから!」
 本当に彼がこんな事を言い出してくるのは急だった。キャッチボールはたまに彼とやってはいるけれど、今日の誘いは本当に急だし強引だった。


 友人とキャッチボールをしつつ、二羽が一体何故今日に限って話しかけてこないのか、とか最近の某動画サイトの配信の話とかをキャッチボールしながらしていた。
 某動画サイトの配信の話の方は本当にどうでもいいので割愛する。