そして、今日のプレゼントは彼女が薫とよくつるんでいる友人に協力を仰いだ事で行った事だ。ただ、彼が実はお互いの状態や気持ちを良く理解した上で、尚且つ余計な介入をせず、経過を楽しんでいる事は二羽も一葉も知る由はなかった。
 だから、彼が快く協力してくれた事を二羽は知らない。彼女はただ、彼の事をとても優しく協力してくれる良い人としか思っていない。
「うう……あの日から、薫にアプローチしてるのに……」
 彼女はまた、今までの自分の行動を振り返って反省している。頭の中で、一体どうしたら彼が振り向いてくれるのかをずっと悩ませている。
 それも、二羽が一葉に恋をするきっかけになったあの日の事があったからだ。
「でも、ここで悩んでいても仕方ないし! 明日も、頑張ればいいんだから!」
 二羽はポジティブに考え直して、立ち上がる。そして、明日はどんなアプローチを仕掛けるかを考えながら、改めて帰宅を始めた。
 そうして、彼女は一葉がアプローチをどう思っているか知らず、そして一葉は二羽が自分に対して恋愛的な好意を持っている事に気づかず、ずれたアプローチとそのずれたアプローチによる勘違いを繰り返しながら日々を過ごしていく――。

FIN