視界の端に何かが走ったのが見えた。


なんだろうと視線を向けるよりも先に須賀君が動いていた。


それは目にも止まらぬ速さで走り出したかと思うと、そのまま何かを捕まえていた。


「へ……」


突然の出来事で頭がついていかず、キョトンとしてしまう。


バドミントンをしていた3人組も何事かと動きを止めて須賀君を見ている。


須賀君はその場から動こうとしない。


「す、須賀君?」


慌ててベンチから降りて須賀君に駆け寄る。


そのときだった……。


バリバリッ!


むしゃむしゃむしゃ。


なんだか不吉な音が聞こえてきてあたしは足を止めた。


「す、須賀君、なにをしてるの?」


須賀君は返事をしない。


背中を丸め、なにかを食べているようだけれど。


そっと須賀君の前に回り込んで確認した瞬間、須賀君の口の周りが赤くなっていることに気がついた。


あ、あれは血……?


そして須賀君が両手で握り締めて持っているものは……ネズミだ!