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須賀君が歩くと女子生徒が立ち止まり、そして黄色い悲鳴を上げる。


そんなのは日常茶飯事で、もちろんあたしよりもずっと可愛い女の子もその中にいる。


だからこうして2人で並んで歩いていることが自分でも信じられなかった。


あたしは須賀君を見下ろして、その後頭部を見つめた。


スカンクは基本的に黒い毛が覆われているが、体の真ん中に線を引くように白い毛が生えている。


これは他の動物への警告色と言われているようだ。


「今日はいい天気だね」


ふいに見上げてそういわれ、あたしは思わず持っていたお弁当箱を落としてしまいそうになった。


気がつけば目的地の中庭に到着したところだった。


「そ、そうだね!」


慌てて返事をして中庭に出ると心地よい日差しが降り注いでいる。


中庭の真ん中には大きな木が植えられていて、その木を取り囲むように丸いベンチが置かれている。


ベンチから離れた場所で3人の男子生徒たちがバドミントンで遊んでいるのが見えた。


「ここに座ろう」


ベンチに腰をかけると、須賀君はあたしの隣に素早く飛び乗った。


さすがの身体能力だ。


身長はないけれど、野生的な身体能力の高さからいろいろな運動部からスカウトを受けているらしい。