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「ついに表彰までされちゃったね」


その日の放課後、須賀君とあたしは一緒に帰っていた。


最近の須賀君はヤンキー更生に忙しくて、こうして一緒に帰るのは久しぶりのことだった。


だから隣を歩いているとなんだかくすぐったい感じがする。


「びっくりしたよ。僕のもふもふが役に立つなんてさ」


須賀君は頬を染めて嬉しそうにしている。


手をつないで歩いていても、なんだか須賀君が遠く感じられてしまって心の中に穴が開いたような感覚があった。


「すごいなぁ須賀君は。あたしなんてなにもできないよ」


須賀君のボディーガードをするなんだなんて意気込んでも結局失敗するし、い
いことなんてなにもない。


それに比べて須賀君はみんなのヒーローで、女子からの人気も高い。


こんなあたしと一緒にいていいのかなって思ってしまう。


「そんなことないよ」


須賀君はそう言うと突然立ち止まった。


「え?」


「美世は僕のことを癒してくれてるじゃん」


「須賀君のことを?」


ジッと見つめられてドキドキしてしまう。


何かを期待して体温が高くなっていくのを感じる。