それは瞬く間に有名になっていき、学校には他校のヤンキーたちまでやってくるようになった。


両親や先生につれられて無理やりやってきたヤンキーたちでも、須賀君に触れるとこぞって真面目な顔つきで帰っていく。


いつしか須賀君は金八スカンクという、あまりパッとしない異名までもらうことになった。


そして、今日……。


全校生徒が集まる体育館のステージの上に、とても小さな須賀君が立っている。


須賀君は猫背をどうにか伸ばして真っ直ぐにし、校長先生と向き合っていた。


あたしには須賀君の緊張感が伝わってきて、握った手に汗が滲んでいる。


「須賀永輝(スガ エイキ)君。あなたは沢山のヤンキーを更生させ、沢山の人々から感謝されました。あなたがいれば日本の未来は明るいでしょう。と、いうことに貢献したことを、ここに表します」


校長先生が須賀君に表彰状を渡す。


須賀君はそれを受け取る前に「校長先生。僕はスカです。須賀と書いて、スカと読みます」と、名前を訂正した。


校長先生は驚いた様子で目を見開き、それから目じりにシワを刻んで微笑んだ。


「これは失礼。須賀永輝君。おめでとう」


須賀君は表彰状をもらうとこちらへ視線を向けた。


そして軽くウインクをすると、体育館内は大きな拍手に包まれたのだった。