須賀君、お願い逃げて!


そう願っても心の声は届かない。


須賀君の影が揺れて体育館倉庫に入ってきたのがわかった。


男子生徒たちの隙間を歩いて真っ直ぐに近づいてくる。


須賀君の姿が見えた瞬間、あたしは泣きそうになってしまった。


ごめんね須賀君、こんなことになっちゃって。


自分の考えの浅はかさに情けなくなる。


結果的に須賀君に迷惑をかけてしまうことになっているし……。


須賀君はあたしと理穂を見た瞬間大きく目を見開いた。


「お前ら、覚悟はできてんだろうな?」


須賀君の声が震えている。


あたしは慌てて左右に首を降った。


あたしのことはいいから逃げて!


いくら須賀君のおならでもこの人数は無理だよ!


うーうーとうめき声しかもらせないのが歯がゆい。