「2人ともおはよう。なんだか楽しそうだね?」


須賀君が低い位置から聞いてくる。


「そう! あたしたち、今日から須賀君のボディーガードをすることにしたの!」


理穂が胸を張って答える。


「ボディーガード?」


「うん。須賀君、喧嘩も怖い人も嫌いだって言ってたでしょう? だから、少しでも役立てればいいなって思って」


「僕のため?」


「そんな大層なことじゃないよ」


あたしは照れ笑いを浮かべて答えた。


しかし、須賀君は真剣な表情でこちらを見つめている。


「なんでそんな危ないことするのさ」


「え?」


予想外の言葉にあたしと理穂の顔から笑みが消えた。


須賀君は本気で怒っているようで、目が釣りあがっている。


野生的な怒りの熱量に思わず後ずさりをしてしまう。


「これは僕の問題だ。女の子が出てきちゃいけない」


須賀君はそう言うと、教室に入っていってしまったのだった。