「す、須賀君が強いことはもう知ってるんでしょう? あんなに小さくてもふもふなのに、3年生のラスボスみたいな生徒だって倒しちゃったんだから! 人は見た目じゃないのよ!」


あたしは威勢よく言ってボクシングの真似事をしてみせた。


あたしの言葉に数人の男子がひるむのがわかった。


「強くなきゃ、ボディーガードなんてしないでしょう?」


理穂が一歩前に踏み出して言う。


その顔は余裕に満ちていた。


あたしは背中に冷や汗をかいているというのに、理穂は本当に涼しい顔をしているから驚きだ。


「それもそうか……」


理穂の一言が聞いたようで、須賀君を待っていた半数の男子たちがこっそりと逃げ出していく。


「あんたたちも逃げなくていいの?」


逃げていく仲間の後ろ姿を指差して言うと、残り5人も小さく舌打ちをして逃げ出した。


その後ろ姿が見えなくなるまで見送って、あたしと理穂はその場でハイタッチをして喜んだ。


「あたしたちでも追い払うことができるじゃん!」


「ほんと! 理穂の演技迫真だったもんね!」


きゃあきゃあと騒いでいると、渦中の須賀君が登校してきた。


嬉しそうに騒いでいるあたしと理穂を見つけて駆け寄ってくる。