1年B組に戻ってきたあたしはようやく落ち着いて、須賀君がおならをして3人を撃退したのだと理解した。


気絶した3人は偶然通りかかった先生に、保健室に連れて行かれたらしい。


「すごいよ須賀君! あんなたちが悪いが連中を一発でやっつけちゃうなんてさ!」


興奮気味に言うと、須賀君は頬を赤らめてモジモジしながらうつむいた。


「全然すごくなんてないよ。僕、おならしちゃっただけだし」


「なに言ってるの! そんなの誰にもできないことなんだよ!?」


あたしは須賀君のもふもふな手を握り締めて言った。


「そ、そうかなぁ?」


「そうだよ!」


須賀君にはもっと自信を持ってほしくて熱っぽく言う。


すると噂を聞きつけた女子生徒たちがやってきて、あたしは簡単にその輪の中からはじき出されてしまった。


女子生徒たちは黄色い声で須賀君を賞賛している。


「ありゃまぁ、あんたの彼氏の人気ほんとすごいね」


自分の席で漫画を読んでいた理穂が顔をあげ、哀れむような声で言った。


あたしは大きくため息を吐き出す。


「ほんと、勘弁してほしいよ」


疲れきった声で返事をする。