「私、サトシに告白しようと思うの」
放課後の教室。
二人きりでおしゃべりしていたら、サオリが赤い顔をして相談してきた。
「ふーん」
私は極力興味のないふりをする。
演技は得意ではないが、まあ相手もこちらの態度に気を回す余裕はないだろうから大丈夫であろう。
「サオリがサトシにねえ」
「しょうがないじゃん。好きなものは好きなんだから!」
「あんな男のどこが良いんだか……」
サオリとサトシ、それに私は子供の頃からの付き合い。
いわゆる幼馴染というやつだ。小学校、中学校、高校とずっと同じクラスであり。腐れ縁はずっと続いている。
そして、サオリは昔からサトシに淡い思いを抱き続けてきた。
ずっと間近で見ていた私からすると、ついに来るべき時が来てしまったという感じである。
「これぞ幼馴染マジックか。どんな相手だろうとも、その言葉の響きだけでも何か良さげに思えてくるという」
「もう、そんなんじゃないよ!」
「あー、これでサオリも彼氏持ちかー」
「ま、まだそれは分からないけど」
いや、分かる。
サトシの方もサオリのことを憎からず思っているのは明白だ。この告白は百パーセント成功する。
だからこそ、せつない。
「彼氏持ちになったら、こうやってサオリと二人で過ごすこともなくなるね」
「そ、そんなことはないよ」
「なるね。恋する乙女は友人より想い人をとるものさ」
だって、他ならぬ私がそうだから。
サオリはあたふたしながら、反撃を試みる。
「じゃ、じゃあさ。そっちはどうなの? 誰か好きな人とかいないの?」
「好きな人ねえ」
じっと相手の目を見てから。
私は聞こえるか、聞こえないかくらいの声で。
「幼馴染、かな」
と呟いた。
放課後の教室。
二人きりでおしゃべりしていたら、サオリが赤い顔をして相談してきた。
「ふーん」
私は極力興味のないふりをする。
演技は得意ではないが、まあ相手もこちらの態度に気を回す余裕はないだろうから大丈夫であろう。
「サオリがサトシにねえ」
「しょうがないじゃん。好きなものは好きなんだから!」
「あんな男のどこが良いんだか……」
サオリとサトシ、それに私は子供の頃からの付き合い。
いわゆる幼馴染というやつだ。小学校、中学校、高校とずっと同じクラスであり。腐れ縁はずっと続いている。
そして、サオリは昔からサトシに淡い思いを抱き続けてきた。
ずっと間近で見ていた私からすると、ついに来るべき時が来てしまったという感じである。
「これぞ幼馴染マジックか。どんな相手だろうとも、その言葉の響きだけでも何か良さげに思えてくるという」
「もう、そんなんじゃないよ!」
「あー、これでサオリも彼氏持ちかー」
「ま、まだそれは分からないけど」
いや、分かる。
サトシの方もサオリのことを憎からず思っているのは明白だ。この告白は百パーセント成功する。
だからこそ、せつない。
「彼氏持ちになったら、こうやってサオリと二人で過ごすこともなくなるね」
「そ、そんなことはないよ」
「なるね。恋する乙女は友人より想い人をとるものさ」
だって、他ならぬ私がそうだから。
サオリはあたふたしながら、反撃を試みる。
「じゃ、じゃあさ。そっちはどうなの? 誰か好きな人とかいないの?」
「好きな人ねえ」
じっと相手の目を見てから。
私は聞こえるか、聞こえないかくらいの声で。
「幼馴染、かな」
と呟いた。