「まあしょうがないか。マルちゃんが生きていたのは僕が小学生の時のことだし、瀬戸さんと出会ったのは高校に入ってからだもんね」
「うん。しょうがない、しょうがない」と呟いて、哀れっぽく下がっていた肩を元に戻した水無月くんは、何事もなかったかのようにへらっと笑う。
初めの頃は、その自由さにイライラしたりもしたが、今ではもうすっかり慣れてしまった。
むしろ、今日も水無月くんは自由に生きていらっしゃるようで何よりだとすら思う。
「ちなみに駄菓子屋のマルちゃんっていうのはね、僕が小学生だった時に家の近所にあった駄菓子屋さんで飼われていた犬のことで、マルチーズだからマルちゃんっていうらしいんだけど、性別はオスなんだよ」
「マルちゃんって犬!?」
驚きに思わず大きな声を出してしまったが、これもまたいつものことなので、クラスメイトは誰も気にしていない。
水無月くんもまた、私の驚きなど全く気にしていない様子で、徐ろにブレザーのポケットから取り出したスマートフォンを操作している。
「マルくんだと何かがしっくりこないってことで、マルちゃんにしたらしいんだけど……。あっ、ほらこれ!見て、見て」
目の前に差し出された画面には、可愛らしいマルチーズが一匹。
「うん。しょうがない、しょうがない」と呟いて、哀れっぽく下がっていた肩を元に戻した水無月くんは、何事もなかったかのようにへらっと笑う。
初めの頃は、その自由さにイライラしたりもしたが、今ではもうすっかり慣れてしまった。
むしろ、今日も水無月くんは自由に生きていらっしゃるようで何よりだとすら思う。
「ちなみに駄菓子屋のマルちゃんっていうのはね、僕が小学生だった時に家の近所にあった駄菓子屋さんで飼われていた犬のことで、マルチーズだからマルちゃんっていうらしいんだけど、性別はオスなんだよ」
「マルちゃんって犬!?」
驚きに思わず大きな声を出してしまったが、これもまたいつものことなので、クラスメイトは誰も気にしていない。
水無月くんもまた、私の驚きなど全く気にしていない様子で、徐ろにブレザーのポケットから取り出したスマートフォンを操作している。
「マルくんだと何かがしっくりこないってことで、マルちゃんにしたらしいんだけど……。あっ、ほらこれ!見て、見て」
目の前に差し出された画面には、可愛らしいマルチーズが一匹。