38. 奇跡を信じて
すると、田村は即座に立ち上がり、
「私が最初から説明します。実は、今から6年前、私と妻は旅行の帰り、追突事故に遭ってしまったのです。その時、ちょうど妻のお腹には子どもがいましたが、その事故で子どもは亡くなってしまったのです。私は野球に打ち込んで前へ進もうとしましたが、なかなかそのようにすることができなかったのです。そして、ファンの皆様に納得をしていただける数字を残せなかった私は、今シーズンの途中で引退しようと決めていました。そのような時、私はある少年に出会うことができたのです。しかし、その少年は白血病でした。彼は病気と6ヶ月間、闘っていたのです。私はその少年に闘うということを教えられました。そして、私は彼と夢の中で、ある約束を交わしました。その約束とは、私がホームラン王になるということです。彼はその約束を私が守れば、病気に勝つと言ってくれたのです。みなさんは、私が見た夢なんて馬鹿げていると思われるでしょう。しかし、私達は本当にあるところで会話をしていたのです。みなさんに私の言ったことを理解してもらえることは、難しいかもしれません。ただ私は奇跡が起きるということを信じていただけなのです。そして、その彼は今日、ご家族の方とこの会場に来て頂いています」
会場が一瞬、ざわめいた。
「大地君、こちらへ来てもらえますか?」
と田村が言うと、
両親の横に座っていた大地は、
「タムが僕の名前を呼んだよ」
と幸雄に言った。
「大地、田村選手が大地に来てほしいって、言っているよ」と幸雄が言うと、
「うん」と大地が言って、席を立ち田村の方へ向かおうとすると、選手、関係者からは、大きな拍手が送られた。
大地が田村と同じ壇上へ上がると、
「大地君、君のおかげで僕がホームラン王になれたんだよ。どうもありがとう」と田村が言うと、
「ちがうよ。タムがたくさんホームランを打ってくれたから、僕が助かったんだよ。ありがとう、タム」と大地が言った。
涙を流している多くの選手もいた。
そして、出席をしている全ての人から二人へ大きな祝福の拍手が送られた。
田村は、大地が他人の子どもとは思えなかった。
あの時、亡くなった子どもの生まれ変わりだと確信していたのだ。
そして、あの子がサヨナラホームランを打たせてくれたのだと....
すると、田村は即座に立ち上がり、
「私が最初から説明します。実は、今から6年前、私と妻は旅行の帰り、追突事故に遭ってしまったのです。その時、ちょうど妻のお腹には子どもがいましたが、その事故で子どもは亡くなってしまったのです。私は野球に打ち込んで前へ進もうとしましたが、なかなかそのようにすることができなかったのです。そして、ファンの皆様に納得をしていただける数字を残せなかった私は、今シーズンの途中で引退しようと決めていました。そのような時、私はある少年に出会うことができたのです。しかし、その少年は白血病でした。彼は病気と6ヶ月間、闘っていたのです。私はその少年に闘うということを教えられました。そして、私は彼と夢の中で、ある約束を交わしました。その約束とは、私がホームラン王になるということです。彼はその約束を私が守れば、病気に勝つと言ってくれたのです。みなさんは、私が見た夢なんて馬鹿げていると思われるでしょう。しかし、私達は本当にあるところで会話をしていたのです。みなさんに私の言ったことを理解してもらえることは、難しいかもしれません。ただ私は奇跡が起きるということを信じていただけなのです。そして、その彼は今日、ご家族の方とこの会場に来て頂いています」
会場が一瞬、ざわめいた。
「大地君、こちらへ来てもらえますか?」
と田村が言うと、
両親の横に座っていた大地は、
「タムが僕の名前を呼んだよ」
と幸雄に言った。
「大地、田村選手が大地に来てほしいって、言っているよ」と幸雄が言うと、
「うん」と大地が言って、席を立ち田村の方へ向かおうとすると、選手、関係者からは、大きな拍手が送られた。
大地が田村と同じ壇上へ上がると、
「大地君、君のおかげで僕がホームラン王になれたんだよ。どうもありがとう」と田村が言うと、
「ちがうよ。タムがたくさんホームランを打ってくれたから、僕が助かったんだよ。ありがとう、タム」と大地が言った。
涙を流している多くの選手もいた。
そして、出席をしている全ての人から二人へ大きな祝福の拍手が送られた。
田村は、大地が他人の子どもとは思えなかった。
あの時、亡くなった子どもの生まれ変わりだと確信していたのだ。
そして、あの子がサヨナラホームランを打たせてくれたのだと....