が、しかし。


「いや、無理だよ?」


店長は苦笑いをしてそう言った。


「え!?どういうことですか!?」

「それ多分俺の台詞だと思うけど」

「どうしてそんなことに!?」

「多分それも」


店長は「本当に困るよ」と眉を下げた。その表情が普段から放っている哀愁に上手くマッチしていて本当に可哀想な人に思える。
彩葉と光里はいつ来るか分からない。ゆっくり向かうと言っていたけれど何処か寄り道していたとしてもきっと直ぐに辿り着いてしまうだろう。

つまりこんなことをしている場合ではない。


「い、嫌ですか、私の友達に会うの?」

「嫌というか会う目的が分からないというか」

「店長のこと紹介するためです」

「な、何で紹介するの?」


そこがよく分からないよ、と店長は両手のひらを前に出して身体を近づけてくる私と距離を取った。
そりゃ未来の彼氏は友達に紹介してもおかしくないだろう。それに結婚したら家に二人のことも呼ぶことになるだろうし、早くから顔を合わせておくのも悪くない。何より店長のことを自慢したいってのはある。確実に。


「何って、店長がイケメンだからですよ」

「イケメンが見たいなら俺じゃないほうがいいと思うよ。ほら、高野くんたちとかもいるし」

「でも店長が見たいって。私が店長の話したから」

「俺の話したの!?」


店長が目を見開いて大いに驚いた。そして私の肩に手を置くとガックリと項垂れる。


「そ、それってどこまで?」

「どこまで?えーと、将来は店長と愛を育み、三人の子供に恵まれ幸せに暮らしますってところまで」

「それって捏造だよね!?」