「え!? 俺出来る範囲って言ったよね!? 聞こえてなかった!? きっ……そんなの出来るわけないでしょ!」

「えー、キスならできると思ったのにな……」

「小野さんの中でキスってどのレベルの行為なの……」


じゃあほっぺにでもいいですよ、と言っても店長の頬は真っ赤に染まったままだった。


「あ、あのね小野さん。普通ね? 俺みたいなおじさんが小野さんみたいな女の子に手を出しちゃ駄目なんだ」

「大丈夫です! その人が好きな人だったら犯罪にはなりません!」

「なります!」


とにかく駄目!と一点張りの店長に私はぷうっと膨れた。
テスト期間中、ほぼ徹夜で勉強をして学年五位にまでなったのに、結局ご褒美も何もないなんて。流石に酷すぎではないだろうか。


「テスト」

「っ……」

「頑張ったのに……」

「……あ、お休みあげようか?」

「いらないです、店長に会えなくなるんで」

「……じゃ、じゃあ給料上げよう」

「女子高生を金で釣るんですか?」


そっちの方がやってること極悪人ですよ、とわざと漏らせば店長は「俺、小野さんの雇い主だよね?」と顔を真っ青で言った。
理不尽なことを言っているのかもしれないけれど、この扱いはあんまりだよぉ。


「キース! キース! キース!」

「コール止めて、フロアにまで聞こえちゃうでしょ」

「店長の格好いいところ見てみたい!」

「煽りも止めてね」