確かにそれはあるけど、と私は大人しくフロアに足を向ける。店長愚か、それは誰にも言えない秘密だ。
だけど店長のことを教えてもらえなくて悔しかった私は店長のことを振り返って少しだけ睨んだ。

あ! いいこと考えた!


「店長! 私がテストでいい点数取ったらご褒美ください!」

「テストって今勉強してる?」

「そうです!」

「それは親から貰った方がいいんじゃないかなー」

「店長がいいです!」


そしたらもっとヤル気が出ます!、と言えば店長は「えー……」と困ったように声を漏らす。


「でも小野さん頭いいし」

「普通ですよ!」

「いい点数ってなんかハッキリしてないし」

「平均80点以上!」

「いかなかったら?」

「毎日シフトに入りますよ!」


別にそれは私にとってご褒美でしかないんだけども。
それでも店長が「うーん…」と首を傾げるので私は決死の覚悟でその言葉を口にする。


「じゃ、じゃあ! 無理だったらもう店長に抱き着こうとするのやめます!」