出身大学のこと、言いたくないのかな? というか私、店長のことって年齢ぐらいしか知らないなぁ。彼女はいないのは知っているけど。

私は休憩室から出ていった店長の後を追った。


「店長!」

「ん? どうしたの小野さん?」


店長はまた私に抱きつかれないか、私のことを警戒した様子だった。


「店長って今どこに住んでいるんですか?」

「え、それ聞いてどうするの?」

「店長のこと全然知らないなって。この前連絡先教えてもらったばっかりだし」


好きな人については色々把握しておきたいのが乙女心。
私が「教えてくださいよー!」とお願いすると店長は先ほどと同じような困惑顔になった。


「ひ、秘密」

「えー、卑怯!」

「卑怯とかじゃなくてね? 小野さん本当に家来そうなんだもん。そんなことあったら俺胃やられちゃう」

「どゆことですか?」


何で私のせいで店長の胃がキリキリする事態になっているんだろうか。
それでも私が駄々を捏ねると店長は私の体をフロアの方へと押した。


「秘密ったら秘密。ほら、小野さんにだって俺に言えない秘密あるでしょ?」

「……」