「花宮さん真顔で言わないで」

「店長が高校三年生のときに私は四歳……」

「小野さんもやめて……」


確かにそうだけどさ、と店長は困ったように言った。
十一年前かぁ、店長の高校生時代かぁ。超超超気になっちゃうなぁ。多分イケメンに育てられたんだろうな。


「俺そんなに頭いい方じゃないから何も教えられないよ」

「あー、ぽいなおっさん」

「ぽいって……」


紅先輩の一言に傷付く店長。確かに頭はよくは無さそうだよね。
嫌々言う店長に無理矢理問題集を見せてみる。その問題集っていうのはあの桐谷先輩すら難しいって言ったながーい英文が書かれているものなのだが。


「いちいち単語が難しくて……」

「それを調べていくのが試験勉強」

「えー、でも……」


私が桐谷先輩の言葉に不貞腐れていると店長は「うーん……」と首を傾げる。


「……これさ、もしかしたら何かの物語かもね」