とか言いつつも、


「テスト本番まで、あと三日しかないなんて」

「おい、こっちの高校は明日だぞ」

「なんでバイト来てるんですか?」

「紅は今日のバイトのシフト抜けていいって言ったんですけど、俺がバイト行くって言ったらそんな俺に張り合ってきたんです」

「蒼は勉強せずにバイト来てんだぜ? バイトに通いながらテストで高得点を取るなんて芸当、蒼が出来て俺にできねぇってことねぇだろ」


いやいや、それは蒼先輩だから出来るだけで紅先輩に出来るわけがないじゃないか。
私ははぁっと溜め息を付くと目の前の英文に再び向き合った。

店長が高校生や大学生でテストがあるときは休憩室で勉強してくれていいよと言ってくれたので、お言葉に甘えてちょっとした時間にでも期末考査の勉強をしているわけだけど……
店長に会いたくてテスト期間中も休まずバイト来てはいたけど、そのせいであまり勉強に時間を避けていないから今回のテストの結果は期待できないかも。

と、そんな紅先輩と蒼先輩の殺伐とした雰囲気にガチャリと音が響く。


「なに、この暑苦しい空間」

「花宮さん!」


それから桐谷先輩も黙って入ってくると珈琲メーカーに直行した。
花宮さんは私の教科書とノートを覗き込むと「へー」と感心したような声を漏らす。


「あー、そろそろ高校生ってテストなのねー」

「そうなんですよー、そうだ! 花宮さん、教えてくれません?」

「ははっ、無理無理。小野さー、大学っていうのは入るときが一番大変なの」

「へ?」

「受験の時に勉強したこと全部忘れちゃった……」

「……」