バイトメンバーの半数は高校生であるらしく、大抵はテスト期間が近付けばシフトを店長に変更してもらえる。
店長はバイトが原因で学校生活に支障を来すのが嫌みたい(多分バイトを辞められたら困るだけだと思うけど)。

でも私にとっちゃテストなんかよりも店長と一緒にいられる時間の方が大事だ。そんなことが理由で店長に会えなくなるなんて絶対嫌。
だから私は今日も今日とてアルバイト先へ出向くのだ。





チクタクチクタク。

白い壁に掛けられた時計が時を刻む。
高校生三人はテーブルに向かうと自分達の勉強に集中していた。

のに、


「……あぁもう! 紅先輩邪魔しないでくださいよ!!」

「あ?」

「あ?じゃなくて! さっきから何なんですか! シャーペンで私の腕を叩いて! 邪魔!」

「何だと?」


私の苦情に紅先輩が眼光鋭くこちらを睨みつけてきた。
私は隣の席の紅先輩と向き合うと戦闘体制を整えた。喧嘩するなら受けて立つ。


「はっ、瑞希のくせして俺に歯向かうなんて百万年早いんだよ。ボコボコにしてやるぜ」

「私の店長への愛、舐めないでください!」

「なんであのおっさんへの愛で競わないといけないんだよ!」

「はぁあんっ? おっさん!? 店長がおっさん!? 確かにおっさんですけどおっさんの中でも最も上の階級にいらっしゃるおっさんなのよ!!」

「おっさん認めてんじゃねぇか!!」