他の子達にも連絡先言わないとなぁ、という台詞に「そりゃ、私だけじゃないよね」と納得したけど、店長のそのみんなを平等に扱おうとするところは嫌いじゃない。


「ふふ、店長人気だからみんなから連絡沢山届きそうですよね」

「そうかな、桐谷くんとかだと業務連絡しか来なさそうだけど」

「紅先輩とか自撮り写メ送ってきますよ、絶対」

「あそこは蒼くんに任せようかな」


まぁ、それが一番いいよね。店長も「蒼くんが紅くんの保護者みたいで助かってるよ」と普段から紅先輩の暴れっぷりに困っていることが良く分かる。


「そうだ、小野さんも。今日いつもより帰るの遅くなりそうだけど親御さんにはちゃんと連絡した?」

「……あ、あぁ」

「心配させたら駄目だからね」


私はその言葉にビクッと体を震わせた。きっと店長は私のことを心配して言ったんだろうけど、突然親のことを言われたので驚いてしまった。
親のことになると上手く言葉が出てこない。黙り込み私を珍しく思ったのか、店長が横目でこちらを見てきた。


「小野さん?」

「え……あー、大丈夫じゃないですかね? あんまり心配していないと思いますよ」


きっと気にしてないだろうし、と私は他人事のように呟く。
"あの人たち"にとっちゃ私のことなんか心配してないだろうし、きっと大丈夫だ。

そんな私の言葉に疑問を持った店長は「でも」と言葉を繋げる。