この前は断られたのに、どういう風の吹き回しだろうか。


「実は……桐谷くんと連絡先交換しちゃって」

「……桐谷先輩？」

「うん、だから小野さん聞いていてくれたのに教えなかったのって不公平かなって」


だからね、と言われて私は少しムッとする。


「何で初めが私じゃないんですか！」

「き、桐谷くんが凄いスムーズに聞いてきたんだよ……」

「店長……もしかして桐谷先輩が苦手ですね？」

「俺よりしっかりしてる人は苦手かも……」


もう、桐谷先輩より何歳も年上の癖に。しっかりしてください。

店長って何で自分の年下の相手にもペコペコした対応するんだろう。
初めて会ったとき、私のことをナンパから助けてくれたときの店長は本当に店長だったのかな。

まぁ、こういうところも可愛くて好きなんだけどね。


「で、その連絡先に関してあることを約束してほしいんだけど」

「はい？」

「まず、俺はそんなにメールとか返せないしLINEをもし始めた時も既読無視してしまうかもしれないけどごめんね」

「……ていうか、店長はその前にうちのバイトのLINEグループに入って貰えれば助かります」

「っ……そ、そうだね」


入っとく入っとく、と言ったけど絶対今のは入らないやつだ。