「……う、店長。大丈夫ですか?」

「ん……花宮さん?」


そっか、花宮さんも今日は深夜シフトか。
事務室のデスクに項垂れている俺を見て入り難かったのか、花宮さんは少し困惑した表情で入ってきた。


「夜遅くまでお疲れさま。それから俺のいない間お店のことありがとう。フロアは?」

「大丈夫です、お客さん少ないんで」

「花宮さんもごめんね、若いのにバイトのチーフなんて大事な役任せちゃって」

「私がやらなきゃ誰がやるんですか」


そうなんだけど、と返事をすると花宮さんは「珈琲淹れますね」と休憩室の方へと向かった。
花宮さんも若いのにしっかりしてるなぁ、本当に彼女にチーフを任せて良かった。小野さんのことについてはいつも怒られるけど。

桐谷くんも花宮さんも、俺より歳下なのに本当……


「……」


それに比べて俺は本当……本当に不甲斐ないなぁ……


「堂々とネガティブオーラ出すの止めてください」

「っ……」


珈琲を持って現れた花宮さんの言葉に俺はグサッと一突きさせられた。
彼女はデスクに俺の分の珈琲を乗せるとはぁっと溜め息を吐く。


「店長には年長の威厳と言うものが無いんですか。だからバイトにも舐められるんですよ」

「な、舐められてたの、俺」

「分かりませんでしたか」