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「(小野さん、今日九時シフトだったのか…)」
本社から帰ってきて一応シフト表を確認したあと、俺は「うーん」とシャーペンを口に当てながら考え込む。
高校生は早めに帰しているつもりだったけど今日は外に出ていたから声を掛けられなかった。
もう帰ったのかな、と時刻を確認するとそれに値する十分前。
「店長、帰ってきてたんですか」
「あぁ、桐谷くん。ただいま。小野さんはいつ帰った?」
「小野はついさっきです」
「そう……」
ちょっと遅いけど、確か同じ方面に一緒に帰っているバイトのメンバーがいるから安心かな。
24時間経営しているうちではこの時間になるとバイトメンバーも成人している子ばかりになる。
「桐谷くんもごめんね、厨房スタッフ少なくて」
桐谷くんはよく深夜帯のシフトに入ってくれるから嬉しいけれど、なんでも任せっぱなしも駄目だよなぁ。
「別に、深夜は給料高いんで」
「彼女に何か買ってあげるの?」
「……」
ギロリとした鋭い目付きで見つめられ、自分が失態を犯したことに気が付く。
花宮さんに桐谷くんには彼女がいることを聞いていたが、その話をしたら怒られるとは教えられていなかった。花宮さんの馬鹿。
「別に、独り暮らしだからですよ」
「だ、だよね。なんかごめん……」
命の危険を感じたので今は話を流しておこう。
その歳で独り暮らしなんて大変だね、と世間話でもしようとすると「自分の周りの平穏を保つためなんで」と交わされ、珈琲を飲みほした紙コップをゴミ箱に入れて厨房の方へと帰っていった。
桐谷くんはあの若いバイトメンバーの中でも落ち着いているようで俺も助かるけどちょっと怖い。
まぁ、小野さんの怖さに比べたらどうってことはないんだけど。
昼間や夕方と違って人が少ないガラリとした店内にはやはりそういう時間とは違ったお客さんが多い。
お酒が出ることも多いし、その分料理を作ることは少ないから厨房は少し楽だろう。
「(ヤバい、眠気が……)」
隣の支店に凄く苦手な人がいて今日たまたま研修で一緒になった。よくその人に絡まれることが多いせいか、今日はかなり体力が削られる。
それか歳か、歳か、歳だな。歳だ。今度休み取れたらジム行こうかなぁ。