そうやってバックヤードで紅先輩とやいやいと言い合いを始めていると、


「あれ、こんなところで何してるの? 高野くんたち早いね」


噂をすれば愛しの店長が颯爽と現れた。
相変わらずよれよれのシャツを着ていて洗ってあげたくなる。店長っ、私店長の老後を養ってあげたいです!!


「すみません、学校が思ったよりも早く終わったのできました」

「その分給料上げといて?」

「え、あ……ありがとう?」

「紅のことは無視してください」


蒼先輩はそう言うと私にも「じゃあまたあとで」と残し、紅先輩を引きずるようにして休憩室に入っていった。蒼先輩怪力だなー。


「小野さんもフロア戻ってね?」


店長は私にはやっぱり怯えたような笑顔で私に言った。
そんな彼の方に体の向きを変えると問い質すような口調で言葉を口にする。


「店長!」

「っ……な、何?」

「あの……店長の連絡先教えてください!」


私は当たり前に彼の連絡先が聞けるものだとその時は思い込んでいた。
しかし、帰ってきた答えは想像よりもはるかに冷たいものだった。


「んー、無理かな?」

「はい?」