あ、そっか。


「なんだか、分かる気がします」

「……何がだよ」

「この送り主の女の子の気持ち」


きっと、関わりがほしかったんだろう。どんなに危険であっても、その可能性にかけてみたかった。
自分に興味をもってもらいたくて、必死で、見てほしくて。だから、ほんの少しの確率に掛けてみたかった。


「好きな人の連絡先って、その人と繋がってるって思えて嬉しいじゃないですか」


私も片想いだから、片想いの女の子の気持ちはよく分かる。相手の人が振り向いてくれないなら尚更。店長は全然私に靡いてくれないし。
そうなったら必死になって、どんなやり方でも私の方を見てほしいと思ってしまうのはおかしい話ではない。でもこうして度が過ぎてしまうと相手の迷惑になってしまうということは肝に銘じておこう。


「あれ?」

「なした?」

「い、今思ったら……私店長の連絡先知らない!」


なんていうことだ! というかなんで私今まで気が付かなかったんだろう!
気付いてしまったが最後。欲しい! 店長の連絡先聞きたい!! 毎日ラブコールをしたい!!


「小野さん知らなかったんですね」

「先輩たちは知ってるんですか!?」

「知らない知らない。だって連絡って店の電話に入れるし」

「私もです!」

「多分花宮さんは知っているかもしれないですね、バイトチーフですし」


確かに、バイトチーフの花宮さんなら店長の連絡先を知っていてもおかしくないだろう。
というより本人に聞いた方が早いような気もしてきた。


「お前、本当にあのおっさんのこと好きだよな」

「おっさんじゃない! 紳士だよ!!」

「てっめ、ついに敬語抜けてんじゃねぇか」


紅先輩に足らないのは紳士力だ。この店での一番人気は蒼先輩ではあるけれどやっぱり私には店長しかいない!